関係法令は、ボイラーの**一生(つくる → 据える → 使う → 変える → やめる)**に沿って条文が並んでいます。 条文番号を別々に覚えるのではなく、時間軸の上に置くのが最短の攻略法です。

なお、2026年(令和8年)4月1日に労働安全衛生法の改正(令和7年法律第33号)が施行され、 製造段階の検査を行う機関の名称と手続が変わりました。 本記事は2026年4月1日時点で施行されている法令に基づいています。 古い教材では「登録製造時等検査機関」と書かれていますが、現在は登録設計審査等機関です。

1. つくるとき — 製造から検査証まで

段階 誰が行うか 根拠
製造許可 所轄都道府県労働局長の許可を受ける。ただし、すでに許可を受けたものと型式が同一のボイラーは不要 ボイラー則3条
設計審査 登録設計審査等機関(2026年4月1日施行の改正で新設)。製造許可の申請には、その結果を記載した書類を添える 安衛法37条3項
溶接検査 登録設計審査等機関。溶接作業に着手する前に申請する ボイラー則7条
構造検査 登録設計審査等機関。溶接によるボイラーは、溶接検査に合格した後でなければ受けられない ボイラー則5条
使用検査 登録設計審査等機関。① ボイラーを輸入した者 ② 構造検査・使用検査の後1年以上設置されなかったボイラーを設置しようとする者 ③ 使用を廃止したボイラーを再び設置・使用しようとする者 ボイラー則12条
設置届 所轄労働基準監督署長へ。工事開始の日の30日前まで ボイラー則10条、安衛法88条1項
落成検査 所轄労働基準監督署長構造検査または使用検査に合格した後でなければ受けられない ボイラー則14条
ボイラー検査証の交付 所轄労働基準監督署長(落成検査に合格したとき) ボイラー則15条

誰がやるかの切り分け

これがいちばんの出題ポイントです。

  • 製造許可だけが都道府県労働局長
  • ものをつくる段階の検査(設計審査・溶接・構造・使用)は登録設計審査等機関
  • 現場に据えてからの検査(落成・変更・使用再開)は労働基準監督署長
  • 使い続けるための性能検査は登録性能検査機関

**「つくる=機関、据える=署長、許可=局長」**の3語で整理できます。

検査の順序

溶接検査 → 構造検査 → 設置届 → 落成検査 → 検査証

条文には順序の制約がはっきり書かれています。 溶接によるボイラーは溶接検査に合格した後でないと構造検査を受けられず(5条2項)、 落成検査は構造検査または使用検査に合格した後でないと受けられません(14条2項)。 「前の検査に受かっていないと次へ進めない」と覚えれば、順序を問う問題は落としません。

移動式ボイラーだけは扱いが違い、構造検査または使用検査に合格した時点で 登録設計審査等機関がボイラー検査証を交付します(5条5項、12条6項)。 現場に据え付けないので、落成検査がないためです。

2. ボイラー検査証と性能検査

ボイラー検査証の有効期間は1年です(37条1項)。 更新を受けようとする者は性能検査を受けます。行うのは登録性能検査機関で、 検査の結果により1年未満または1年を超え2年以内の期間を定めて更新できます(38条)。 滅失・損傷したときは所轄労働基準監督署長に申請して再交付を受け(15条2項)、 使用を廃止したときは遅滞なく返還します(48条)。

**「原則1年、性能検査の結果で最長2年まで」**が数字の押さえどころです。

3. 変える・休む・やめる

場面 手続 根拠
変更 変更届を所轄労働基準監督署長へ(工事開始の30日前まで)→ 変更検査(所轄労働基準監督署長) 41条・42条
休止 休止期間が検査証の有効期間を過ぎた後にわたるときは、有効期間中に所轄労働基準監督署長へ報告 45条
使用再開 使用再開検査(所轄労働基準監督署長) 46条
廃止 ボイラー検査証を遅滞なく返還 48条

変更届が必要な部分・設備は4つだけです(41条)。 ① 胴・ドーム・炉筒・火室・鏡板・天井板・管板・管寄せ・ステー ② 附属設備(過熱器・節炭器) ③ 燃焼装置 ④ 据付基礎。 **安全弁や水面計などの附属品の取替えは、変更届の対象ではありません。**ここが引っかけになります。

4. 使う人 — 就業制限と作業主任者

ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱いの業務には、特級・一級・二級のボイラー技士でなければ就かせられません(23条1項)。 ただし小規模ボイラー(令20条5号イ〜ニ。胴の内径750mm以下かつ長さ1,300mm以下の蒸気ボイラー、 伝熱面積3m²以下の蒸気ボイラー、14m²以下の温水ボイラー、30m²以下の貫流ボイラー)の取扱いは、 ボイラー取扱技能講習を修了した者を就かせることができます(同条2項)。

ボイラー取扱作業主任者は、取り扱うボイラーの伝熱面積の合計で級が決まります(24条)。 500m²以上は特級、25m²以上500m²未満は一級以上、25m²未満は二級以上、小規模ボイラーのみなら技能講習修了者でも選任できます。 合計を出すときは貫流は10分の1、火気以外の高温ガスを利用するものは2分の1を乗じ、小規模ボイラーは算入しません(同条2項)。

作業主任者の職務(ボイラー則25条1項)

そのまま出題される10項目です。

  1. 圧力、水位および燃焼状態を監視すること
  2. 急激な負荷の変動を与えないように努めること
  3. 最高使用圧力をこえて圧力を上昇させないこと
  4. 安全弁の機能の保持に努めること
  5. 一日に一回以上、水面測定装置の機能を点検すること
  6. 適宜、吹出しを行い、ボイラー水の濃縮を防ぐこと
  7. 給水装置の機能の保持に努めること
  8. 低水位燃焼しゃ断装置、火炎検出装置その他の自動制御装置を点検し、調整すること
  9. 異状を認めたときは、直ちに必要な措置を講じること
  10. 排出されるばい煙の測定濃度およびボイラー取扱い中における異常の有無を記録すること

5号の点検は、所轄労働基準監督署長の認定を受けた自動制御装置付きボイラーでは三日に一回以上にできます(同条2項)。

覚え方のコツ:職務は「見る(1・10)・穏やかに扱う(2・3)・保つ(4・7)・点検する(5・8)・出す(6)・直す(9)」 の6グループに束ねると抜け落ちにくくなります。

5. 置く場所 — ボイラー室と据付位置

決まり 内容 根拠
ボイラー室 移動式・屋外式を除き、専用の建物または障壁で区画された場所に設置。ただし伝熱面積3m²以下は不要 18条
出入口 ボイラー室には2以上の出入口を設ける(緊急時の避難に支障がなければ不要) 19条
上部との距離 最上部から天井・配管などまで1.2m以上 20条1項
側部との距離 本体を被覆していないボイラー・立てボイラーは0.45m以上(胴の内径500mm以下かつ長さ1,000mm以下なら0.3m以上 20条2項
可燃物との距離 ボイラー・金属製の煙突・煙道の外側から0.15m以内の可燃性の物は不燃性材料で被覆 21条1項
燃料との距離 ボイラーの外側から2m以上固体燃料は1.2m以上 21条2項
排ガスの監視 燃焼が正常に行われていることを容易に監視できる措置を講ずる 22条

ボイラー室の管理(29条)では、関係者以外の立入り禁止の表示引火しやすい物を持ち込ませないこと、 水面計のガラス管・ガスケットなどの予備品と修繕用工具類を備えること、 ボイラー検査証と作業主任者の資格・氏名を見やすい箇所に掲示すること、 移動式では検査証またはその写しを作業主任者に所持させることが求められます。

覚え方のコツ:距離は「上は1.2m、横は0.45m(小さければ0.3m)、可燃物は0.15m、燃料は2m(固体は1.2m)」。 **「上に1.2、固体燃料も1.2」**と同じ数字が2か所に出るのを目印にします。

6. 使っている間 — 点火・吹出し・定期自主検査

場面 内容 根拠
点火 ダンパの調子を点検し、燃焼室および煙道の内部を十分に換気した後でなければ点火してはならない 30条
吹出し 一人で同時に2以上のボイラーの吹出しを行わない吹出しを行う間は他の作業を行わない 31条
定期自主検査 使用開始後、1月以内ごとに1回、定期に行う。1月を超えて使用しないボイラーは、使用を再び開始する際に行う 32条1項・2項
記録 結果を記録し、3年間保存する 32条3項
内部に入るとき 冷却・換気、移動電線はキャブタイヤケーブル等・移動電灯はガード付き、使用中の他のボイラーとの管連絡を確実にしゃ断 34条

点火(30条)と吹出し(31条)は、事業者だけでなく労働者本人にも同じ義務が課されている点が特徴です。

定期自主検査の項目は、ボイラー本体/燃焼装置/自動制御装置/附属装置および附属品の4つです(32条1項の表)。 **「本体・燃焼装置・自動制御装置・附属装置および附属品」**という枠を覚えておけば、 選択肢が5つ目の項目を作っていたらすぐ誤りと分かります。異状を認めたときは補修等の措置が必要です(33条)。

全体を1本にまとめる

製造許可(都道府県労働局長)→ 設計審査・溶接検査・構造検査(登録設計審査等機関) → 設置届(労基署長・30日前まで)→ 落成検査(労基署長)→ ボイラー検査証(労基署長・有効期間1年) → 性能検査(登録性能検査機関)で更新

この1本の流れに、使う人(就業制限・作業主任者)置く場所(ボイラー室)、 **使っている間(点火・吹出し・定期自主検査)**を枝として足していくと、関係法令10問はひととおり射程に入ります。