給水装置はボイラーに水を入れる側、吹出し装置はボイラーから水を抜く側です。 入口と出口の一対として覚えると、構造規格の条文も取扱いの手順も整理しやすくなります。
給水装置 — 能力と個数(構造規格73条)
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 蒸気ボイラーには、最大蒸発量以上を給水できる給水装置を備える |
| 2個必要な場合 | ① 燃料の供給を遮断してもなお熱供給が続くもの(廃熱ボイラーなど) ② 低水位燃料遮断装置を有しない蒸気ボイラー — これらは、随時単独に最大蒸発量以上を給水できる給水装置を2個備える |
| 2個目の能力の緩和 | 一方の給水装置が2個以上の給水ポンプを結合したものである場合、他方の給水能力は、最大蒸発量の25%以上で、かつ結合した給水装置のうち給水能力が最大のポンプの能力以上でよい |
| 動力 | 燃料を止めても熱供給が続くボイラーの給水装置は、それぞれ別の動力で運転できるものとする |
なぜ2個要るのかを理解すると、この条文は丸暗記の必要がなくなります。
- 燃料を止めても熱が入り続けるボイラーは、給水が止まると空だきを止める手段がない
- 低水位燃料遮断装置がないボイラーは、水位が下がっても自動で燃料が切れない
どちらも「給水が唯一の命綱」なので、命綱を二重にしておけ、という趣旨です。 動力を分けるのも同じ理由で、停電で両方同時に止まっては二重化になりません。
なお、近接した2以上の蒸気ボイラーを結合して使用する場合は、 それらを1つの蒸気ボイラーとみなしてこの規定を適用します(構造規格74条)。
給水弁と逆止め弁(構造規格75条)
給水装置の給水管には、蒸気ボイラーに近接した位置に、給水弁および逆止め弁を取り付けなければならない。 ただし、貫流ボイラーおよび最高使用圧力0.1MPa未満の蒸気ボイラーにあっては、給水弁のみとすることができる。
2つの弁の役割は別物です。
| 弁 | 役割 |
|---|---|
| 給水弁 | 人が操作して給水を止める・開く。ボイラー側(内側)に付ける |
| 逆止め弁 | ボイラー内の圧力で水や蒸気が給水管へ逆流するのを自動的に防ぐ。給水ポンプ側(外側)に付ける |
給水弁がボイラー寄り、逆止め弁がポンプ寄りという順序がポイントです。 この順にしておけば、給水弁を閉じるだけで逆止め弁の点検や取替えができます。 逆にすると、逆止め弁を外すためにボイラーの圧力を抜かなければなりません。
貫流ボイラーが逆止め弁を免除されるのは、水が一方通行で流れ、 ためておく水がないので逆流という現象が起きにくいからです。
給水内管(構造規格76条)
給水内管は、取外しができる構造のものでなければならない。
給水内管は、胴の中に差し込まれた穴の開いた管で、冷たい給水を一点に集中させず、 広く分散させて注ぎ込む部品です。これにより、
- 局部的に冷やされて板に熱応力がかかるのを防ぐ
- 水面が波立ってプライミングを起こすのを防ぐ
という効果があります。 穴はスケールで詰まりやすいので、掃除のために取り外せることが求められているわけです。
なお、給水内管は安全低水面より少し下に取り付けます。 これより上だと、水位が下がったときに給水が水面より上から落ちることになり、 水面が乱れてしまうからです。
吹出し装置(構造規格78条・79条)
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 設置義務 | 蒸気ボイラー(多管式を除く貫流ボイラーを除く)には、スケールその他の沈殿物を排出できる吹出し管であって吹出し弁または吹出しコックを取り付けたものを備える |
| 弁・コックの数と設置方法 | **日本産業規格B8201(陸用鋼製ボイラ−構造)**に定めるところによる |
| 取付位置 | 見やすく、かつ取扱いが容易な位置 |
| 構造 | 吹出し弁は、スケールその他の沈殿物がたまらない構造とし、安全上必要な強度を有する |
「見やすく、取扱いが容易な位置」は、鋳鉄製ボイラー(構造規格99条2項)にも同じ文言で置かれています。 吹出しは熱い水を高圧で抜く危険な作業なので、無理な姿勢で操作させないという趣旨です。
また、燃焼ガスに触れる吹出管は、給水管・水面測定装置の連絡管とともに、 耐熱材料で防護しなければなりません(ボイラー則28条1項7号)。
連続吹出しと間欠吹出しの使い分け
| 種類 | どこから抜くか | 目的 |
|---|---|---|
| 連続吹出し(連続ブロー) | 水面近くから少量ずつ連続的に | ボイラー水に溶けている不純物の濃度を一定に保つ。水面付近に集まる浮遊物や油分も除く |
| 間欠吹出し(間欠ブロー) | 胴やドラムの底部から一度にまとめて | 底にたまったスラッジ(沈殿物)を排出する |
**「連続は溶けているもの、間欠は沈んでいるもの」**と対で覚えます。 溶けているものは常に増え続けるので少しずつ連続で、 沈むものは底にたまってからでないと抜けないので、まとめて間欠で、という理屈です。
法令にも、作業主任者の職務として書かれています。
適宜、吹出しを行い、ボイラー水の濃縮を防ぐこと(ボイラー則25条1項6号)
吹出し作業の安全ルール(ボイラー則31条)
ここは条文そのものが出題されるので、文言で覚えます。
事業者は、ボイラーの吹出しを行うときは、次に定めるところによらなければならない。 一 一人で同時に2以上のボイラーの吹出しを行わないこと。 二 吹出しを行う間は、他の作業を行わないこと。
しかもこの条文は2項で労働者自身にも同じ義務を課しています。 事業者だけでなく、作業する本人も守らなければならない数少ない条文のひとつです。
なぜここまで厳しいかというと、吹出し弁を開けたまま目を離すと、 気づかないうちに水位が安全低水面を割るからです。 複数のボイラーを掛け持ちしたり、途中で他の作業に気を取られたりすれば、それが起きます。
吹出しを行う時期
- ボイラーを運転していないとき、または低負荷のときに行う
- 最大負荷のとき・燃焼が盛んなときは避ける
- 2以上のボイラーが連絡している場合は、吹出しを行うボイラー以外を確実に遮断する
高負荷のときに水を抜けば、そのぶん水位が下がるうえ、 蒸発も盛んなので、水位が急に危険域へ落ちます。「忙しいときに抜かない」と覚えます。
覚え方のコツ
- 給水側の合言葉は「最大蒸発量以上・給水弁は内、逆止め弁は外・内管は外せる」
- 吹出し側の合言葉は「連続は溶質、間欠はスラッジ・見やすい位置・一人で二つはダメ・ながら作業はダメ」
- 免除されるのはどちらも貫流ボイラー。ためる水がないから、逆止め弁も吹出し装置も要らない
まとめ
- 給水装置は最大蒸発量以上。燃料を止めても熱が続くものと低水位燃料遮断装置がないものは2個
- 給水弁がボイラー寄り、逆止め弁がポンプ寄り。貫流と0.1MPa未満は給水弁のみでよい
- 給水内管は取外しができる構造。冷水の分散とプライミング防止が役目
- 吹出しは連続=濃度調整、間欠=スラッジ排出
- 吹出し作業は「一人で2台同時は禁止」「ながら作業は禁止」。労働者本人にも義務がある