安全弁は、ボイラーの圧力が上がりすぎたときに蒸気を逃がして破裂を防ぐ最後の砦です。 他の安全装置が全部壊れても、これだけは機械的に働かなければなりません。 だから法令の決まりが細かく、試験でも構造・取扱い・法令の3科目にまたがって出題されます。

安全弁・逃がし弁・逃がし管の役割分担

装置 どんなボイラーに 何をするか
安全弁 蒸気ボイラー、120度を超える温水ボイラー 内部の圧力を最高使用圧力以下に保つ。ばねの力に打ち勝った圧力で開き、蒸気を放出する
逃がし弁 水の温度が120度以下の温水ボイラー 圧力が最高使用圧力に達すると直ちに作用し、内部の圧力を最高使用圧力以下に保つ
逃がし管 温水ボイラー(逃がし弁の代わり) 膨張した水を開放型膨張タンクなどへ逃がす。弁のような可動部がない

温水ボイラーの区切りは120度です(構造規格65条)。

  • 120度以下 → 逃がし弁。ただし、容易に検査ができる位置に逃がし管を備えたものは逃がし弁を省ける
  • 120度を超える安全弁が必要

120度を超えると、大気圧での沸点をはるかに上回り、 配管が破れたときに一気に蒸気になる(フラッシュする)危険が跳ね上がります。 だから「逃がす」ではなく、蒸気ボイラーと同じ「安全弁」が要求されるわけです。

蒸気ボイラーの安全弁 — 個数と取付け

構造規格62条が基本です。

決まり 内容
個数 2個以上。ただし伝熱面積50m²以下の蒸気ボイラーは1個でよい
取付位置 ボイラー本体の容易に検査できる位置に直接取り付ける
弁軸 鉛直にする
引火性蒸気を発生するボイラー 安全弁を密閉式の構造にするか、排気をボイラー室外の安全な場所へ導く

直接取り付ける」「弁軸を鉛直に」の2点がよく問われます。 配管を介して取り付けたり、横向き・斜めに取り付けたりすると、 ドレンがたまったり弁体が自重で傾いたりして、設定どおりに吹かなくなるからです。

過熱器の安全弁

過熱器には、過熱器の出口付近に、過熱器の温度を設計温度以下に保持できる安全弁を備えます(構造規格63条1項)。

なぜ出口付近かというと、過熱器の中を蒸気が流れ続けていないと、過熱器の管が焼けてしまうからです。 出口側に安全弁を置けば、安全弁が吹いている間も過熱器に蒸気が流れ続けることになります。

貫流ボイラーだけは例外で、本体に直接取り付ける代わりに、 最大蒸発量以上の吹出し量の安全弁を過熱器の出口付近に取り付けることができます(同条2項)。

取扱い(附属品の管理)のルール

ここはボイラー及び圧力容器安全規則28条です。事業者が行わなければならない事項として並んでいます。

内容
1号 安全弁は、最高使用圧力以下で作動するように調整する
2号 過熱器用安全弁は、胴の安全弁より先に作動するように調整する
3号 逃がし管は、凍結しないように保温その他の措置を講ずる
8号 温水ボイラーの返り管についても、凍結しないように保温その他の措置を講ずる
2項 安全弁が2個以上ある場合、1個を最高使用圧力以下で作動するよう調整したときは、他の安全弁を最高使用圧力の3%増以下で作動するよう調整できる

2個以上あっても「全部が最高使用圧力以下」ではない、というのが引っかけどころです。 1個目が最高使用圧力以下、2個目以降は3%増まで許される——この非対称を覚えます。

覚え方のコツ

  • 過熱器用が先に吹く。理由は「過熱器を蒸気で冷やし続けるため」。理屈で覚えれば逆にしない
  • 3%増は「2個目以降だけ」。1個目には適用されない
  • 凍結対策が要るのは逃がし管と(温水ボイラーの)返り管。どちらも水が滞留する配管。「動かない水は凍る」と覚える
  • 安全弁の取付けは「直接・鉛直・検査できる位置」の3語

圧力計・水高計との関係

安全弁とセットで出題されるのが圧力計です。

決まり 根拠
蒸気ボイラーの蒸気部・水柱管・水柱管に至る蒸気側連絡管に、最大指示値が最高使用圧力の1.5倍以上3倍以下の圧力計を取り付ける 構造規格66条1項
蒸気が直接圧力計に入らないようにする(サイホン管に水を満たすなど) 同1号
コックまたは弁の開閉状況を容易に知ることができるようにする 同2号
圧力計への連絡管は、容易に閉そくしない構造 同3号
圧力計は、停電の場合においても有効に機能するものでなければならない 同2項
温水ボイラーには、本体または温水の出口付近に水高計(同じく1.5倍以上3倍以下)。圧力計で代えてもよい 構造規格67条
圧力計・水高計は、振動を受けないようにし、内部が凍結せず、80度以上にならない措置を講ずる ボイラー則28条1項4号
圧力計・水高計の目盛には、最高使用圧力を示す位置に見やすい表示をする ボイラー則28条1項5号

1.5倍以上3倍以下80度は、そのまま数字で問われます。 「1.5倍未満だと針が振り切れて壊れる、3倍を超えると目盛が粗くて読めない」 「80度を超えると内部のブルドン管が狂う」と、理由とセットで覚えると定着します。

安全弁が正しく働かないとき

試験では「吹出し圧力が設定どおりにならない」「弁座から蒸気が漏れる」といった場面も問われます。 原因は大きく2つに分かれます。

症状 主な原因
設定より低い圧力で吹く/設定圧力にならない ばねの調整が適切でない、ばねが腐食や過熱でへたっている
吹き出した後、圧力が下がっても止まらない(吹き止まらない 弁体と弁座にすり傷や異物があり、密着しない
弁座から蒸気が漏れる 弁体・弁座の当たり面のきず・ごみ、弁軸が傾いて弁体が偏って当たっている

いずれも、弁体と弁座が正しく密着できているかに帰着します。 だから構造規格は「容易に検査できる位置」「弁軸を鉛直に」と求めているのです。

まとめ

  1. 蒸気ボイラーの安全弁は2個以上、伝熱面積50m²以下なら1個
  2. 取付けは「本体に直接・弁軸は鉛直・検査できる位置
  3. 温水ボイラーは120度が境目。以下なら逃がし弁(逃がし管で代替可)、超えれば安全弁
  4. 調整は「最高使用圧力以下」、2個目以降は3%増以下まで可、過熱器用は胴より先
  5. 圧力計は最高使用圧力の1.5倍以上3倍以下80度以上にしない